すべてのお茶の故郷は、中国にあるといえます。茶樹は、数十万年も前から、中国の南西部に存在していたそうです。では、お茶を初めて飲んだのは誰でしょう?
神話の世界のお話が本当だとすると、それは今から5000年あまりも前に存在したといわれる「神農」という神であったのかもしれません。
「神農」は人々を飢えから救うために農業を教えました。そして、野山を歩き廻っては、様々な植物を食し、人々の為になる薬草や植物がないかと試していたそうです。
ある日100種類の植物を食べて、72種類の毒に冒され苦しんでいたのですが、偶然口にした茶葉によって救われたのだそうです。(神農本草経による)
このころから、人々は茶葉の素晴らしい効能に気づいていたのではないかと思われます。偶然に発見されたお茶は、初めは薬として、後に食用されるようになり、様々な時代を経て飲茶文化は花開き奥深い世界を築きました。
現在中国茶は1000種類以上もあるといわれています。
かっては貴族にしか楽しむことのできなかった各地域の銘有茶を日本に居ながらにして楽しむことのできる私たちはなんと幸せなことでしょうか。
ゆっくりと楽しみながら学んでいただければと思います。
そして、ご一緒にお茶をいただきながら、心を自由に解き放ち、いにしえの唐や宋の時代などに旅をしたいものです。
心やさしい神農はわたくしの憧れの神です。わたくしはいつもお茶を淹れるとき、この「神農」のことを心に思い描きます。そして、わたくしの淹れたお茶によって心を和らげていただけますようにと心を込めてお淹れするようにいたしております。
お茶はすべての人の心を和らげ繋ぐことができるものだと信じております。
皆様にも、講習に参加し身に付けられたことを生かして、ご自身に、ご家族に、ご友人に美味しいお茶をお淹れ頂き楽しい時間をお過ごし頂きたいと存じます。